- 2019年8月United産業医塾(USJ)を開講しました。今後、企業の労働衛生管理は「法律準拠型」から「自主対応型」へとシフトしていきます。これは急速に変化する現代の労働環境下では必然であり、日本も避けて通ることが出来ない流れです。米国は古くからこの「自主対応型」の労働衛生管理を採用しており、それを支援する専門家の体系的トレーニングシステムが確立しています。USJでは労働衛生分野ですでに一定以上の経験のある医師を対象に、ハーバード大学院で産業医になるための体系的トレーニングを受けた代表辻が、日本では得られない情報、技能の共有を中心に対応力を高めるトレーニングを行います。
- USJが目指すもの
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労働衛生の分野で発生する事象をグローバルな視点で分析し、企業、労働者の文化に落とし込んで説明、支援ができる。社会やテクノロジーの変化が急速な今、求められている産業医はこういった産業医ではないでしょうか。
例えば米国では企業に産業医の選任義務はありません。それなのに産業医を雇う企業がたくさんあります。米国の産業医は需要にマッチした活動を行っているわけです。どういった活動をしているのでしょうか?
米国から輸入された健康経営から日本独自のストレスチェックまで、日本で話題になることの多い活動ですが、残念ながら強いエビデンスがあると言えるものは非常に少ないのが現状です。法令上必要だから、流行っているから勧めるというだけでは、専門家とはいえないでしょう。また、環境と労働衛生の分野は歴史的に日本は他のアジアの国々と同様に遅れているというのは世界では知られています。産業医をしていると非正規雇用、外国人労働者、高齢者、障害者、小規模・自営業者などの労働衛生の対応の遅れは自然と気づくはずです。こういった国や、企業、医学会の対応が遅れている分野で働く労働者はいわば、医療の分野に置き換えると、診断できる施設が少なかったり治療が困難な難病や大きなリスクを抱えた人です。こういった人に対して国や他の誰かによる対応を待つだけでは、産業医が社会から真に必要とされる存在になることは無いでしょう。
企業が労働衛生に投資する理由は世界的におおよそ共通していて主に法令順守、リスクマネジメント、サステイナビリティ―またはCSR (持続可能性、企業の社会的責任)、生産性向上の4つです。USJでは企業が労働衛生に投資する理由を理解するだけでなく、科学根拠やデータに基づいた医学・公衆衛生学をベースに、独自のコンピテンシー(Competency)を定めています。USJは“労働者の健康を通じて社会に貢献”したい産業医の技能を高めるソーシャルキャピタル(Social Capital)を目指し、進化し続けます。
- “労働者の健康を通じて社会に貢献”したい人を応援する
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労働衛生分野ですでに一定以上の経験のある下記1、2、3をすべて満たしている医師
- 労働者の健康を通じて社会に貢献したい方
- 医師免許、産業医資格(労働安全衛生法第13条第2項)
- 下記いずれか3つ以上必須
- 産業衛生学会専攻医・専門医・指導医
- 社会医学系専門医・指導医
- 労災補償指導医
- 労働衛生コンサルタント
- 専属産業医歴3年以上
- 嘱託産業医歴5年以上
- 労働衛生機関(WHO等国際機関、厚労省、教育機関、労災病院、健保組合、企業健診機関など)勤務歴3(非常勤5)年以上
- 臨床科専門医・指導医(総合診療科・総合内科・整形外科・精神科・呼吸器内科など)
- 公衆衛生修士・博士(MPH、MS、DrPHなど)
- 医学博士(PhD)
- 産業医学基本講座修了認定書(産業医科大学産業医学ディプロマ)
- 東京大学職場のメンタルヘルス(TOMH)専門家養成プログラム修了
- メンタルヘルス・産業保健法務主任者資格(一般社団法人産業保健法学研究会)
- その他労働衛生に関する特別な資格・経験(論文、学会発表、その他、個別判断)
- 当HPのお問い合わせ欄に、依頼内容の種類をその他として、まずはご連絡ください。
- 社会貢献として無料で行っております。そのため受け入れに制限があり、資格条件が当てはまっても入塾をお断りする場合がございます。また希望に沿えない場合もございます。何卒ご理解お願いいたします。
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1期生(2019年度入塾)R先生
保有資格 産業衛生学会専攻医、医学博士 経験 嘱託産業医17年、職場のメンタルヘルス専門労働衛生機関勤務14年 家業でもある職場のメンタルヘルス専門クリニックに勤務しております。子育ても一段落し、嘱託産業医の業務を増やしていきたいと考え、産業衛生学会専攻医となりました。今後クリニックのさらなる専門化を図りたいと考えており、産業衛生学会専門医の取得もサポートしてくれる指導医を探しておりましたところ、学会や、産業医の勉強会でお世話になっている先生からUSJを紹介され、入塾しました。USJでは産業衛生学会専門医と労働衛生コンサルタント資格取得に向けた定期的な研修だけなく、産業医が本来知っておくべきだけれども、日本語での情報の無い分野の情報共有もあり、博士課程時代を思い出すような、サイエンスベースドな環境で刺激を受けながら研修しています。
M先生保有資格 産業衛生学会専攻医、労働衛生コンサルタント 経験 専属産業医2年、嘱託産業医4年、労働衛生機関勤務2年 元々製造業(東証一部上場)の専属産業医をしていて刺激的な毎日を過ごしていました。現在は視野を広げるために労働衛生機関に所属しながら、嘱託産業医をしております。さらなる専門性を極めるために、指導してくれる機関を探していたところ、USJの存在を知り、入塾しました。米国では産業医専門研修として労働者の保険者側である健保組合での研修も組み込まれていることから、健保組合の仕事も紹介頂き、USJでは労働者の立場だけでなく、保険者の立場も理解する機会をいただくなど、産業医として全く新しい視点での経験が出来ています。